辻村深月『ハケンアニメ!』感想

記念すべき第一回目の投稿ですよ!!!

アナログ大好き人間、、、というかデジタル弱者なので、器用なことは出来ません。

ただ、好きなものへの愛を語ります。



さて、今回取り上げるのは


辻村深月『ハケンアニメ!』


タイトルにもあるように、覇権アニメを制作するまでの過程が描かれている作品です。


辻村さんの作品は『スロウハイツの神様』『冷たい校舎の時は止まる』『ぼくのメジャースプーン』『ツナグ』『子どもたちは夜と遊ぶ』など読んできましたが(これも読み直して感想書きたいなぁ!)今回も、うぉぉまじか!という面白さ。語彙力低くてすみません。


タイトルがカタカナだし、アニメだし、なんか軽そうだなぁと思っている方!MOTTAINAI!今回も安定の面白さだから!

もちろん、初めての方も、MOTTAINAI!読んでほしいなぁ。


辻村さんの作品って、色でいうと寒色系のものが多いなと思っていたのですが『ハケンアニメ!』は暖色系ですね!

NO.1アニメを作るんだという、登場人物たちの熱い思いが約600ページ(文庫本)に渡り描かれています。


第一章~第三章+最終章の4部構成で、各章ごとに人物の視点が変わります。


第一章はプロデューサー有科香屋子の視点から、天才アニメ監督王子千晴の作品を作り上げていくお話。

この王子がね、本当にいいキャラしてるんですよ!

初めは憎たらしい人なんですけど、読み終わった今となっては、そこも含めて全部愛せます。


第二章は王子作品に覇権アニメの座をかけて戦いを挑むアニメ監督斉藤瞳・プロデューサー行城理のお話。

こちらは行城さんがグイグイきます。

非常に、イケメン。人柄イケメンです。


第三章はアニメーター並澤和奈の視点から、

聖地巡礼を巡ってのお話。

胸アツのシーン沢山ありますね、、、

感想言いたいので以下ネタバレ



☆ネタバレ☆

いやぁ、今回も登場人物皆素敵。

個人的に辻村さんは、登場人物を魅力的に描く天才だと思ってます。

決して、皆が皆道徳的に正しいことをしているわけではないけど、とても魅力的。


中でも今回特に好きだったのは王子千晴。

ハワイ旅行と称し失踪した数日間。

まじか、天才あるある的な息抜きですかと思いきや、様々なプレッシャーと一人で格闘しながらひたすら作品を描いていたと。

かっこいい。

有科ちゃんが惚れ込むのも分かります。


「ー現実を生き抜く力の一部として俺のアニメを観ることを選んでくれる人たちがいるなら、俺はその子たちのことが自分の兄弟みたいに愛おしい。……その人たちのために仕事できるなら幸せだよ。」 p134より


記者会見は王子の一言一言が突き刺さってきましたね、、!

一人一人の悩みをきいて、前を向くよう励ますのは大変だけど、アニメってそれを一度作ってしまえば、個々人の悩み関係なしに、皆を励ますことができる。どんな環境の人であろうと、励ますことができる。

これってすごい事だなと思う。

アニメに限らず、一般に娯楽と呼ばれるジャンルのものって、人を前進させる力があるよね。


『ハケンアニメ!』感想終わり!